プログラマー券主婦のおもちゃと絵本の記録

一姫二太郎を育てています。

よい絵本探しは松岡享子さんに学ぼう

絵本選びのアドバイスでは、「この本がいいですよ」と言われるよりも、「こういった点に着目して絵本を選ぶといいですよ」と言われる方が参考になります。なぜなら前者の場合、勧められた本以外を選ぶ参考にはならないからです。

そういうわけで、おすすめ絵本のブックリストよりも、絵本の選び方自体を教えてくれる本を多く読んできました。その中で松岡享子さんの著作や活動がよかったので紹介します。

松岡享子さんについて

松岡享子さんは図書館学(特に児童図書館)を学んだ専門のライブラリアン。私設図書館を運営したあと、ほかの私設図書館と統合した東京子ども図書館にて近年まで理事長を務めていました。よい児童図書の普及や、語り部の教育などを行なっているとのことです。

『えほんのせかい こどものせかい』

えほんのせかい こどものせかい

えほんのせかい こどものせかい

この本は「子どもが理解しやすいお話や文章はどういうものか」について書かれています。書店では技巧を凝らしたギミック絵本やおもちゃのような絵本が目立っていますが、それよりも基本に戻って、まずはオーソドックスなお話を咀嚼しておくべきだと強く感じました。

子供に好かれるお話のパターンとは

  • 3人(匹)の登場人物があり、3番目が成功する
  • いい人と悪い人が同じ冒険をし、異なる結果を得る
  • 一本線上のストーリーを繰り返す(オチらしいオチはない)

やっぱりベタな展開ものは優秀なんですね。

これに触発されて、昔話集を手に入れました。著作料の問題なのか、一話あたりのコストは新作絵本よりもだいぶ安いです(笑)

日本の昔ばなし20話 (名作よんでよんで)

日本の昔ばなし20話 (名作よんでよんで)

コンビニや書店のくるくる回る什器にある絵本もねだられて買いました。子どもの目につきやすいんでしょうね。

おおかみと七ひきのこやぎ よい子とママのアニメ絵本 かえるのおうじ (せかいめいさくアニメえほん) こびととくつや (世界名作アニメ絵本 (13)) 名犬ラッシー (世界名作ファンタジー32) ピノキオ (ディズニー ゴールデン・コレクション(20))

などなど。

すでに持っているお話の別の本も欲しがるので、買ったり借りたりします。同じ話でも本によって内容や表現が異なるので、視野や解釈が広がるかもしれませんね。『かにむかし』と『さるかに合戦』のようにタイトルすら違うこともあります。

ほかにもイソップといった童話や古典を集める予定です。

子供は繰り返しの話が好き

  • 知らないことばかりの世界の中で、次の展開を知っている安心感がある
  • 図書館で家にある本を借りてくる子も少なくない
  • 読み聞かせカセットテープの「次のページへ進みましょう」が一番気に入られることもある

同じ本ばかり読まされるのも、これと同じ理由だそうです。

子供が理解しやすい文章とは

  • 抽象的だとわからない
    • 「その家は豪華だった」
    • 「その子は悲しんでいた」
  • 具体的だとイメージできる
    • 「その家は金でできていた」
    • 「その子は泣いていた」

こういったことを、子どもと会話するときにも意識するようになりました。「それは金でできているんだね。豪華だね」というように、抽象と具体と併用するようにしています。

借りた絵本

巻末にブックリストがついていました。分かりやすい文章の例として紹介されていた『どろんこハリー (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)』『いたずらきかんしゃちゅうちゅう (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)』などを借りました。『どろんこハーリー』は保育園の貸し出しコーナーにもあり、年季が入っていました。古くからある良書なんですね。娘は気に入ったようで何度も借りました。

『子どもと本』

児童図書館学についてはこちらの本が参考になります。

子どもと本 (岩波新書)

子どもと本 (岩波新書)

図書館の理想的な在り方や選書の仕方(ベストセラーばかりを追っては良くない、等)の話など、読み聞かせを行う側へのアドバイスが多々あります。TUTAYA図書館は彼女の爪の垢を煎じて飲めばいい。)とある図書館学部の課題図書にもなっているようです。

子育てに役立つアドバイスも多くあります。

  • 本は読まなくても家庭にあるだけでいい。オーラを感じて、いつか結びつけばいい
  • 赤ちゃんのうちから絵本を読ませるよりも、わらべ歌などで触れ合った方がいい
    • わらべ歌などは音を育てる。子どもは「甘い雨」という言葉の意味だけではなく、音も楽しむ
  • 読書の興味には四段階ある
    1. 韻律・・・わらべ歌など
    2. 現実的物語・・・あいさつなど身近なお話。子ども自身を主人公にした創作や日記的なお話もよい
    3. 空想的物語・・・昔話から本格ファンタジー。図鑑でも大丈夫。自然の中で空想を巡らせているから
    4. 神話、伝説・・・英雄や生き様、人生についての話
  • 焦って字を覚える必要はない。字が読めない子は字が読めるようになった子の持っていない能力を持っている
  • 昔話はリアリスティックではなくシンボリックなので、残酷な場面があっても問題ない
  • 読者と関係なく初めから良い本があるのではなく、1人の読者がある本に出会って、それが何らかの良い結果を生んだとき、その本は、その人にとって、「良い本」になる
  • 子供は自分が何を楽しめるのかを知らないから、大人がある程度誘導してあげるといい

『昔話は残酷か』

「お腹に石を詰められて死んでしまったり(狼)、焼けた鉄の靴を履かされたり(白雪姫の継母)、昔話は残酷だ。」「旧ドイツのナチスが残酷だったのは、なるほど幼い頃から残酷なグリム童話を読んでいたからだ。」という主張は正しいのでしょうか。

赤ずきんとお婆さんは狼から逃げて、狼は打たれはするけど死んだと明記されない……こんな風に優しく改変された昔話が世界中にあるそうです。果たしてそこまでする必要はあるのでしょうか、そのような甘い話ばかりを聞かせて弊害はでないのでしょうか。

それらの答えをくれるのがこの本です。こちらの著者は松岡さんではありませんが、東京こども図書館発行です。近所の図書館で借りることができました。

昔話は残酷か―グリム昔話をめぐって

昔話は残酷か―グリム昔話をめぐって

この本によると、昔話は残酷ではなく、子どもの成長に欠かせないものだということです。

  • 夢が個人の深層心理を表すように、昔話は集団の深層心理(最後に正義が勝ってほしい等)を表している
  • 「昔々あるところに」に見られるようにテンプレート重視
  • リアリティがないので残酷ではない
  • 場面ごとに孤立しており、残酷性は後に引かない
    • 自分の小指を切って鍵の代わりにした『七羽のカラス』の妹が、その後のシーンではきれいさっぱり指の事は忘れて自由に振る舞っている
    • 眠り姫に向かった王子を出迎えるいばらの花のカーテンには、眠り姫にたどり着けずに死んでしまった他の王子たちの死体が絡まっているはずだが、そんなことはすっかり忘れて美しいことだけが描画されている
  • 昔話では心理面は深く描かれず、ストーリーのみが重視されている
  • 残酷な場面もストーリーを展開させるためだけの一要素に過ぎない
    • トーリーをおざなりに、残虐なシーンを見せたいだけの映画や漫画とは違う
  • 子どもにとって善人は善、悪人は悪であり、最後には悪が制裁され、善が勝つことが望まれる
    • 子どもはまだ「罪を憎んで人を憎まず」という境地になれない
    • 狼が死なない『赤ずきん』は問題が未解決になっている
  • 昔話の継母や狼は子どもが精神面の発達時に乗り越える壁
  • 昔話の善悪は大人の後ろ盾や安心感があってこそ
    • 一人で読み聞かせテープを聞かせるなんてダメ

これからのこと

我が家の娘は、先述した「読書の四段階」の3番目にいるようです。『わかったさん』『こまったさん』『はれときどきぶた』『王さま』シリーズといった文章の多い本(幼年童話)を読むようになりました。

幼年童話や児童書を選ぶ際はこちらの本が参考になります。

将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!

将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!

この本も、ブックリストだけでなく「本の選び方」が書いてあります。自分が昔読んでよかった本も含め、以下の本を揃えていこうと考えています。

ももいろのきりん (福音館創作童話シリーズ)

ももいろのきりん (福音館創作童話シリーズ)

ふたりはともだち (ミセスこどもの本)

ふたりはともだち (ミセスこどもの本)

はじめてのキャンプ (福音館創作童話シリーズ)

はじめてのキャンプ (福音館創作童話シリーズ)

おしいれのぼうけん (絵本・ぼくたちこどもだ)

おしいれのぼうけん (絵本・ぼくたちこどもだ)

かにむかし (岩波の子どもの本)

かにむかし (岩波の子どもの本)

最近の娘は、読んだ本に出てくるシーンの絵を描いたり、本の感想を言うようになりました。成長を感じるとともに、読書後のアウトプットを共有できること自体がけっこう楽しいです。